インバウンドにおける多言語サイト、一歩その先へ
これまで、インバウンドにおいては、海外への情報発信、もしくは今現在日本に滞在している訪日外国人への情報発信という、いずれも情報発信が主流でした。
しかし、最近ではその先のさらに一歩踏み込んだ、アクションを伴うサイトの多言語化案件が多いという印象があります。
例えば、娯楽系のチェーン店では、来店予約システムを英語、中国語簡体字・繁体字、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語の8言語に多言語化したことで、日本語以外のブラウザからのアクセスが飛躍的に増え、外国人の来店予約も増えたそうです。
また、音楽ライブのチケット予約システムなどでも自動翻訳ツールの導入が進んでいたりします。
このように、インバウンド向け多言語サイトは単なる情報発信ツールという役割から、一歩踏み込んだアクションを伴うツールとしての広がりを見せています。
QRコードで活用する多言語ページ
贈答品として有名な店舗型のお菓子小売メーカー様との商談の中では、「訪日外国人のお客様が来店されても、接客用のタブレット端末などもないし、どういう商品か理解してもらえない」というご相談がありました。
その際は、商品棚のPOPなどに小さいQRコードを入れてもらい、それを来店者がスマホで読み込むことで、多言語化されたWEBサイトの各商品ページが表示されるという使い方をご提案をさせていただきました。
博物館や展示会などではQRコード読み取りでの多言語表示はすでに導入されていますが、今後は店舗等でもこうした対応が増えるかもしれません。
AI翻訳ツールとシステムとの相性
上述のように、様々なシステムにも取り入れられて来ているAI翻訳ですが、気を付けなくてはならない点が多々あります。
例えば、エンジニアの方で、Google翻訳(またはDeepL)のサイトでAI翻訳をした場合と、システムにGoogle翻訳のAPIを組み込んだ際に、明らかに翻訳結果が異なっているという経験をされたことはないでしょうか?
実は、AI翻訳のツールとシステムにも相性というものがあります。厳密に言うとソースコードとの相性ということになりますが。
一つの文章の間に、ソースのタグが挟まれていると、AI翻訳のツールではそこで別の文章として判別されてしまいます。
例えば、一番簡単な例で表すと以下のようなことが起こります。
ソース:(金)→(Fri.)
ソ ース:(<b>金</b>)→(money)
現在のAI翻訳では、ソースのタグをとばしつつ、前後の文脈を判断しながら翻訳するということがまだ出来ません。(プロンプトで設定をすれば不可能ではないでしょうが、それでは処理速度が遅くなり、現実的ではありません)
このような事態に対応するには、HTMLのソースごと辞書として用語登録出来るような機能が必要となってきます。(HTML辞書などと呼ばれています)
ですので、エンジニアの方は導入検討の際に、機能をよく確認の上、テスト環境等で充分に検証されることをおすすめいたします。
今後のブログ記事では、そうした各業界のサイト多言語化の現況などを取り上げていきたいと思います。