日本のアニメや漫画は世界的に人気を集めており、海外にはアニメファンが多数存在します。HuluやCrunchyrollなどの海外の大手ストリーミング・サービスが世界的に日本のアニメを配信開始したことで、海外の人々が日本アニメに気軽に触れる機会が増え、いまや世界のアニメファンの数は約10億人ともいわれています。
アニメツーリズムとは
アニメツーリズムとは、アニメや漫画作品の舞台となった場所を訪れる旅行のことを指します。ファンの間では「聖地巡礼」などと呼ばれており、ネット上では今や一般的に通じる用語となりつつあります。
アニメに登場する場所のほかに、作家の記念館や縁のある街、作品に関連する博物館や建造物を訪れることもアニメツーリズムには含まれています。
訪日外国人によるアニメツーリズムの現状
近年、日本のアニメ映画やシリーズは、国際的に大きな成功を収めてきました。例えば、「鬼滅の刃」や「君の名は。」は、アメリカや韓国などで興行成績を記録しました。
また、アニメ作品が多言語に翻訳され、ストリーミングサービスで簡単に視聴できるようになったことで、アニメファンの層が広がり、聖地巡礼に対する興味も高まっています。現在、 海外の大手ストリーミング・サービスのクランチロールでは、日本からの新作アニメの同時期配信を中心に4万5000話数が世界配信されており、世界各地の人々が日本で放映されるのと同時期に、世界各地で日本のアニメを見ることが出来ます。
世界で放送されている日本のアニメ例
- ポケットモンスター 2017年3月末時点で98の国と地域で放送。
- ワンピース 現在約80の国と地域で放送。
- ドラゴンボール 世界80カ国以上で放送。
- 進撃の巨人 現在80カ国以上で放送。
- 名探偵コナン 約40カ国以上で放送。
こうした背景もあって、アニメの舞台を訪れる訪日観光客が増加しています。観光庁の調査によると、2019年に訪日外国人の4.6%が「映画・アニメ縁の地を訪問」しており、全体で換算すると約147万人もの外国人がアニメの聖地を訪れています。また、「次回したいこと」として10.2%が「映画・アニメの縁の地を訪問」と回答しており、今後のさらなる拡大が期待されています。
アニメツーリズムによる経済効果
アニメツーリズムは、地域の旅行客を増やすことで、宿泊施設や小売店、飲食店などの利用者が増加し、工芸体験の申し込みが増加するなど、地域全体への経済波及効果が生じます。
例えば、映画「君の名は。」を含む複数のアニメ映画の舞台になった岐阜県の経済波及効果は253億円に達したとされています。
アニメツーリズムの推進
アニメツーリズムを観光資源として掘り起こし、官民連携などを推進することを目的に、「一般社団法人アニメツーリズム協会」が設立されています。同協会は、アニメ聖地の情報発信や、アニメツーリズムに関する調査研究、アニメツーリズム関連事業の企画・運営などが行われています。
訪日外国人に人気のあるアニメ聖地巡礼スポット
訪日外国人に人気のあるアニメ聖地巡礼スポットは、日本各地に点在しており、特に注目されているものには以下のようなスポットがあります。
1. 「君の名は。」の聖地
- 岐阜県飛騨市: 主人公の瀧が育った場所として描かれています。
- 東京都新宿区: ヒロインの三葉の育った場所で、須賀神社前の階段が特に人気です。
- 長野県諏訪湖: 作中の糸守湖のモデルとされ、多くのファンが訪れます。
2. 「らき☆すた」の聖地
- 埼玉県久喜市: アニメの舞台となった陵桜学園高等学校があり、聖地巡礼の先駆けとも言われています。特に鷲宮神社が有名です。
3. 「氷菓」の聖地
- 岐阜県高山市: アニメの舞台として、観光客が多く訪れ、経済効果も大きいとされています。
4. 「ゆるキャン△」の聖地
- 山梨県身延町: アニメに登場するキャンプ場や自然が魅力で、多くのファンが訪れるスポットです。
5. 「ガールズ&パンツァー」の聖地
- 茨城県大洗町: アニメの舞台として知られ、町全体がアニメに関連したイベントを開催するなど、観光地としての魅力を高めています。
6. 横須賀市
- 神奈川県横須賀市: 自衛艦隊司令部がある場所で、アニメファンにとって人気のスポットです。三笠公園などが訪問先として知られています。
まとめ
アニメやドラマなどのコンテンツツーリズムは、日本だけでなく韓国、台湾、中国など、アジア各国で広がりを見せています。今後は、欧米諸国でもアニメツーリズムが盛り上がることが期待されます。各国のファンを呼び込むには、作品の舞台となった場所の魅力を最大限に引き出し、伝えることが重要です。